はたがや日和~JFPA相談室へようこそ~【853号】
思春期・FP相談LINE/避妊のためのピル&アフターピル相談室 相談員 東 亜紀
小・中・高校生や大学生たちが春休みのある日、私は相談室の当番をしていました。LINE相談の開始時間前に書き込みをしていた相談者は、大学1年生の女性でした。「陰部のかゆみが続いているが、病院に行くべきか分からない。親に言うのも何か恥ずかしいので悩んでいる。病院に行った際には、親に連絡が行ってしまうのか」という内容で、私は、婦人科受診を勧める返信をしました。すると、「保険証を使わなければ親への通知はないと聞いたのですが、全額負担の場合、負担金額はどのくらいになるのか教えてほしい」と返信がありました。私は、かゆみの原因により処置等が異なるので近くの婦人科に連絡をするように返信し、このやりとりの後、相談者のアカウントが削除されていたのに気付きました。そして、この相談者は婦人科受診をしないであろうなと、漠然と思いました。
2021年4月から思春期相談は、電話からLINE相談に代わりました。LINE相談は、思春期の若者にとってアクセスしやすいサポート手段の一つです。一方で、テキストでのコミュニケーションは、こちらの感情やニュアンスを正確に伝えるのが難しい場合があるように思います。また、複雑な問題に対しては、LINE相談だけでは十分な支援が提供できない、対応の制限を感じます。私は、今回の相談者が抱えていた問題に対して<あたりまえ>の支援をLINEで提供しましたが、同時に、相談者が適切な行動が起こせるように、それを補完する支援も必要であったのではないか、と反省しました。
思春期は、身体的・精神的に大きな変化を迎える重要な時期です。この時期に適切な婦人科受診をすることが、健康管理や病気の予防に役立ちます。ところが、日本の思春期女性の婦人科受診率は低い傾向にあります。今回の相談者は「陰部がかゆい」という症状があり婦人科受診をするか否かを決めるためLINE相談をしてくれました。最終的に受診を選択したのかは分かりませんが、このLINE相談の経過を「婦人科受診」をキーワードに、振り返ってみたいと思います。この女性が婦人科受診をためらった理由は、①親に伝えるのがはずかしい ②婦人科受診をしたことを親に知られたくない―の他に、③症状が命に関わるものではなく緊急性がない ④婦人科ではどのような診察や処置があるのか分からない―等もあったのではないでしょうか。
今年で相談員としての経験は14年目になりました。支援者として、よりいっそう、相談者の心理的負担の軽減を目指したいと思います。思春期女性の婦人科受診率の向上には、女性の健康管理において重要な課題です。そして、婦人科受診率の向上は、教育や啓発活動も有効です。婦人科受診の必要性について具体的な情報提供や家庭でもオープンに話し合える環境も提供していきたいと考えます。
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