はたがや日和

はたがや日和~JFPA相談室へようこそ~【854号】

東京都不妊・不育ホットライン相談員 丹野 充代

 不妊治療や流産の経験は、パートナーと支え合い、お互いの気持ちや考え方を共有し、協力して乗り越えていくことが大切だと思います。一般的には女性側に、より大きな負担がかかることが多いようです。男性は、女性の精神的にも肉体的にも負担がかかることを理解し「思いやる心」が大切になります。いずれにせよ、どちらにも異なるプレッシャーがあることを理解し合い、支え合うことが必要です。相談のお電話でも、“パートナーを支えたい・治療のつらさを理解し何か力になりたい”と思っている気持ちが伝わってくることが多くあります。しかし、「どう支えればよいのか…。」と悩むことは少なくないように感じます。

 東京都不妊・不育ホットラインでは、そんな気持ちを受け止め、共に考えるお手伝いをさせていただいています。

 パートナーが初期流産をされた男性の方からのご相談で、「お仕事中に、パートナーから流産のつらい気持ちや、いろいろと不満に思う気持ちがメールで送られてきたが、なんと声をかけたらいいのか分からない」とお電話をいただきました。『あなたもつらかったですね…』とお声がけをすると、ご自身のつらい気持ち・悲しかった気持ちを話されました。しかし、その後、「彼女の心と体の方がもっとつらいと思うので泣くわけにはいかない。しっかり彼女を支えるために悲しんではいられない」とおっしゃったのです。私の考えとして、『あなたの感情を押し殺す必要はないですよ。今のその気持ちをそのまま彼女に伝えてみてはどうですか?』とお伝えさせていただきました。そして『その上で、彼女にどのようにしてほしいのかを聞いてみるのもいいのではないか』と…。彼は「いろいろ考え過ぎていたが、まずは、自分の今の気持ちをそのまま伝えてみます。自分の気持ちも吐き出せてよかった」と言われました。

 一方で、流産の経験をされた女性の方からのご相談で、「なかなか気持ちの整理ができない私に、パートナーは優しく前向きな言葉をかけてくれ心配もしてくれてありがたいと思っているが、いつまでも落ち込んでいることに罪悪感もあり苦しい。泣くことも我慢してしいて、一緒に悲しむ時間が欲しかった」と涙ながらに胸の内を話されました。話をしていく中で「やっと泣けて少しスッキリした気がします」と言われ、誰にも言えず一人で抱え込まれていたのかもしれません。

 お互いを思いやるからこそ遠慮してしまうことがあると思います。しかし、時に感情を素直に出し、お互いがそれを見せ合うことで前に進む一歩になることもあるのではないでしょうか。身近にいる人だからこそ分かっているだろうと思ってしまいがちですが、言葉でお互いの気持ちを伝え、十分に共有し合うことで、お互いを支え合うことにつながるのではないかと思います。

 それでも治療中、二人だけで話し合うことが難しいことが出てくることもあります。その様な時にはこの東京都不妊・不育ホットラインに相談してみてください。気持ちを吐き出し、整理し、少しでもスッキリとして、またお互いに向き合い進んでいけるよう同じ不妊・不育で悩んだ経験のある相談員がお手伝いをさせていただきたいと思っています。

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