はたがや日和

はたがや日和~JFPA相談室へようこそ~【855号】

思春期・FP相談LINE/避妊のためのピル&アフターピル相談室 相談員 千田 陽子

 こども家庭庁が実施した「令和6年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によると青少年のインターネット利用時間は1日平均約5時間2分。どの年代でも利用時間は増加しています。知りたいことは、本で調べなくても、人に聞かなくても、スマホがあればAIが教えてくれます。このところLINE相談に「その情報はどこから?」と思う「インターネット検索による情報(以下:ネット)に振り回されている相談」が増えているように感じていることから、相談者目線で検索をしてみました。

 「日常は剥けるが、勃起すると剥けない。ネットに嵌頓(かんとん)包茎だとあり不安」という相談。検索すると同様の相談と回答があり「嵌頓包茎の一歩手前の包茎である」と書かれ、「包茎は悪臭や異臭を放ち不潔で、性交時に匂いを嗅いだ女性から嫌われる」「男女共に性感染症やがんの感染リスクを高める」「子どもみたいな見た目で馬鹿にされる。コンプレックス解消のために手術をしない選択は考えられない」などと不安をあおり、最終的に明朗会計なクリニックという広告につながるものもありました。嵌頓包茎は、亀頭を無理に露茎させた結果、締め付けから循環不全が起きて包皮が腫れてしまい元に戻すために早急な治療が必要な状態を言います。相談の回答は、包皮口が狭い包皮輪狭窄(きょうさく)と考え、包皮口を伸ばすムキムキ体操を勧めれば多くは改善されるので、受診は痛みで剥けない場合に勧めれば良い状態です。

 次に「長時間射精しないと精子は古くなり質は悪化し、勃起不全になる」「自慰(じい)をしないと勃起力が無くなる」とネットで見て心配という相談。「射精のメリット」の上位検索には「射精はすればするほど健康にいい」とあり、「長時間射精しないデメリット」の検索には、「射精頻度が低いと脳が精子の生産力を減少させ性欲も衰える」「射精が男性ホルモンの分泌、性欲、勃起力を増加させる」とあり最終的に性欲サプリにつながるものもありました。また、陰茎をスポンジに例え、「水分を与えず放置すれば次第に硬くなりボロボロで膨らまなくなる。長期間勃起させないと海綿体も同様で陰茎の筋力低下が起き勃起力が衰えてしまう」などの不安をあおるものもありました。私たちは、自慰や射精をしないデメリットや回数の必要性を話すことはありません。

 「下着越しでも妊娠する」「指を入れただけでも妊娠する」とネットで知り不安という相談も散見されます。ネットの回答の多くが「妊娠リスクは考えられないが可能性がゼロと言い切れない」と完全否定していませんが「妊娠する」との回答は皆無でした。ただ、生理の遅れや気分不快などから自分は妊娠している可能性が高いと思い込んでいるLINEの文面からは、検索しながらそこに出てくる文言に心を揺さぶられているかもしれないと感じました。

 ネットは「正しい事も間違った事も存在する」と知っていても、鵜吞みにする子も、判断に迷う子もいるはずです。改めて意識して検索してみると、あたかも信憑性のある情報のように書かれていて子どもたちが信じてしまう、信じたいと思う気持ちも、それでも不安になる気持ちも理解できます。

 これだけ、だれでも発信できる環境下にあっては、「そんな話を信じたの⁈」と批判的ではなく、「ネットに○○と書いてあるから心配になるよね。でも惑わされないで」と相談者に寄り添いながら情報の訂正と正しい知識の提供ができる相談員になりたいと痛感します。そのために、子どもたちが日頃どのような情報に触れているのか、われわれも常に関連ワードを検索して現状を把握することが不可欠。相談員の役割も時代に沿って変化しています。

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