ピル承認秘話

ピル承認秘話―わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)―第85話 予算委員会「横光克彦 vs. 環境庁」

(下記の質疑応答は、1999年2月18日(木)に開催された予算委員会の議事録から抜粋したものです)

◉横光:次に環境庁にお伺いいたします。
 ある環境団体から私どもに、ピルは環境ホルモンの一種であり危険だというような意見が届いております。環境庁にお尋ねしたいのですが、海外では、環境ホルモンを問題にして環境当局がピルの使用をとめさせたという国があるのでしょうか。 ○澤宏紀説明員(環境庁企画調整局環境保健部長):現在までのところ、ピルを環境ホルモンの問題として環境上の規制をしたという国はないと承知しております。
◉横光:わかりました。ということは、ピルは、ある団体が言うような形での環境ホルモンとは異なると考えていいんじゃないかと思います。ダイオキシンやPCBなど、私たちの生活環境に大きな影響を及ぼす環境ホルモンがあることは私も重々承知いたしております。環境ホルモンに関する全体的な対策の中で、環境部局としてピルをどのように位置づけているのか、お聞かせください。
○澤説明員:ピルにつきましては、現在厚生省の方でも検討されておられるところであります。環境庁におきましては、厚生省との連携を図りながら、科学的知見の集積に努めたいと思っております。
◉横光:これを問題にしている方々もいらっしゃるわけですから、そこの調査をよろしくお願いしたいと思います。

 1999年2月18日に開催された、第145回国会衆議院予算委員会第4分科会議録を、可能な限り一言一句、丁寧に紹介させていただいた。筆者自身も、当日は、許可をもらって委員会を傍聴。2月5日に、横光克彦議員から電話が入ってから2週間(第88話)。30分間という限られた時間を、ピル承認に向けた最後の舞台にすべく、関係部局の若手官僚との協議を重ねてここまで来ることができた。横光議員といえば、元俳優。テレビ朝日で放送されたドラマ『特捜最前線』の紅林刑事役で87年の番組終了まで9年間レギュラーで出演されていた方だ。93年、衆議院議員総選挙において当時の日本社会党の推薦を受けて無所属で当選。筆者とは和田信行現アルロン・ジャパン(株)代表がつないでくれた。

 今回の予算委員会については、横光議員の了解を得て、台本を作成させていただいた。当時、メディアを含めた日本国民がピルについて抱いている諸問題を明らかにし、それを関係省庁部局の政府委員に問い質そうとしたわけだ。地方役人の端くれであった筆者は、議会対応では質疑応答集を何度かまとめた経験があったことから、若手官僚との連携が奏功したことを、やりとりすべてを傍聴席から感慨深く目に焼き付け、耳に残した。横光議員の役者魂にも火を着けたのではないかと感じ取りながら。

 



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