ピル承認秘話

ピル承認秘話–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–第83話
予算委員会「横光克彦 vs. 保健医療局長」

(以下、議事録ママ)

◉横光:平成9年3月には、新薬の審議としては異例中の異例と思われるんですが、中薬審が公衆衛生審議会に意見を求めるということがありました。その公衆衛生審議会の回答が同年6月出されたわけですが、これはピルの承認をとめているものではないと理解してよろしいですね。
○伊藤雅治政府委員(厚生省保健医療局長):御指摘のとおり公衆衛生審議会の答申がピルの承認をとめているものではないという理解でよろしいかと思います。
◉横光:ピル同様、公衆衛生審議会としてバイアグラ承認のときに問題提起をされたのでしょうか。
○伊藤政府委員:結論から申し上げますと、問題提起はしておりません。それは、求めがなかったということと、私ども事務方もその必要性がないという判断をしたわけでございます。
◉橫光:公衆衛生審議会から出された答申には、エイズを含む性感染症について国民的な予防、啓発などを行うように書かれているわけですね。しかし、これらの対策はピルの承認いかんにかかわらず行われるべきものではないでしょうか。
○伊藤政府委員:この答申は、中央薬事審議会から低用量ピルの使用が性感染症の拡大に与える影響について特に意見を求められたことに対する回答という性格から答申を出したものでございます。議員御指摘のとおり、性感染症の予防、啓発等は、低用量経口避妊薬の承認のいかんにかかわらず厚生省としては推進していくことが重要であると考えているところでございます。
◉横光:ピル処方に際しては、性感染症に対する関心は従来よりもっと高まると私は期待しておりますが、エイズ担当部局としてはどのようにお思いですか。
〇伊藤政府委員:公衆生審議会の答申におきましても、医師がピルを処方する場面が、薬を服用する者に対して性感染症とその予防方法の正しい知識を提供し、予防を実践する動機づけの最高の機会と指摘しているわけでございます。このため、性感染症予防対策の観点を含め、処方医師及び服用者への情報提供のあり方について、中央薬事審議会において審議中と聞いているところでございます。
 性感染症の予防は各自の自覚に基づいた自立的な行動が基本であることから、ピルの処方時に性感染症予防の情報が提供され、服用者への啓発が行われることは性感染症予防の観点から見ても好ましいものと認識しております。
◉横光:ピル承認後の性感染症対策ですけれども、ピル承認後のエイズ等の拡大には国民の関心も高いわけですので、懸念されるような事態にならないよう万全の体制で進めていただきたい、このように思います。


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