ピル承認秘話

ピル承認秘話–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–第84話予算委員会「横光克彦 vs. 児童家庭局長」

(下記の質疑応答は、1999年2月18日(木)に開催された予算委員会の議事録から抜粋したものです)

◉横光:毎日新聞が2年おきに行っている全国家族計画世論調査。また国際機関でありますポピュレーション・カウンシルが1990年に調查した資料。この二つを比較してパネルにしてみました。要するに、日本における既婚の避妊法としては、80%近い避妊法はコンドーム主体なんですね。ところが、世界的に見ますと、不妊手術あるいは子宮内避妊具それからピルで、歴然とその差がわかります。日本の場合は、どうしても男性主導とも言えるコンドームで避妊をしている傾向。外国では、すべて女性がみずから取り組める避妊方法なんですね。そこで、児童家庭局長にお尋ねいたしますが、現在我が国の人工妊娠中絶の実態と、特に20歳未満の中絶はどれくらい行われているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○横田吉男政府委員:我が国の人工妊娠中絶の件数につきましては、昭和30年(1955年)には年間約120万件でございましたけれども、その後家族計画の普及等によりまして年々減少し、平成9年(97年)には約34万件弱にまで減少いたしております。また、20歳未満の件数につきましては、昭和50年(75年)以降増加傾向にございまして、昭和30年(55年)時点におきましては1万5千件弱でございましたのが、平成9年(97年)には3万件に増加しているという状況でございます。
◉横光:中絶数が減少しているとは言え、今のお答えでは20未満の中絶数はむしろふえている。年間約120万件の出生に対して34万近くの中絶が行われている。これは大変な数だと思いませんか。私、このピルの問題に対応し始めたのは、実は命の尊厳というところからだったんです。(中略)これだけの数、34万件がこの世に出ないまま結局絶たれてしまっている。要するに、望まれない妊娠ですね。望まれない妊娠ですから人工妊娠中絶を行う。この女性の悲劇というのは大変だと思うんです。これほどの望まない妊娠をいかに避けるか、そのためにはやはりみずからが避妊をできるという選択肢を広げる必要がある。ここにたどり着いたわけなんです。スウェーデンやオランダあるいはベルギーなどでは、ピルが使用されるようになったことで、人口は横ばい、中絶件数、殊に10代の妊娠中絶が激減した、こういうデータがあるんです。一国だけじゃないんです。それぞれの国でピルが使用された後10代の中絶数が激咸したというデータがある。こういった先進国の例に学びながら、望まない妊娠あるいは中絶などで涙する女性を少しでも少なくしていく、そういった施策が今求められているんじゃないでしょうか。


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