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性的ファンタジーと性行動

英国人男女を対象

性的ファンタジー(性行為の妄想)を抱くのは誰にでも起こり得ますが、その中身には多くのタイプがあり、それらが普通で正常なものなのか、どこからが異常で偏執的なのか、その境界の判断は曖昧です。しかし妄想が実際の性行動へ移行すると性的倒錯(パラフィリア)となり、苦痛や傷害を伴うと場合によっては治療が必要なパラフィリア症となります。
英国のグリーンウィッチ大学の研究者らは、性的ファンタジーやポルノなどと、性行為との関連性を検討するための第一歩として、一般英国人から募集した139人(平均年齢28歳、6割が女性)から匿名オンライン調査を試みました。さまざまなタイプのファンタジーと性行為を示し、その有無と程度を示す質問項目を設け、その中にはパラフィリアに該当するものとそうでないものが入れられました。まずファンタジーの回答を分析したところ、女性に多かったのは、抑えつけられる(49%)、縛られる(38%)、叱られる(20%)などで、一方男性は全く逆で、抑えつける(34%)、相手を叱る(15%)などでした。このほか、盗み見する(男性19%、女性10%)、フェティシズム(男女とも8%)、裸体露出(男女とも6%)、小児性愛(男性2%、女性4%)などでした。性行為に関する回答でも、ほぼ全ての項目で同様の傾向が示されました。パラフィリアはその複数のタイプが個人の中で併存しており、ファンタジーのタイプと性行為のタイプとの相関は0.83、ファンタジーとポルノとの相関は0.67などといずれも強い関連性が示されました。どのようなタイプのファンタジーやポルノがパラフィリア症へ進展するリスクが高いのか、より正確に判断できるデータを得るためにはこのような研究を進めていくことが重要だと研究者らは考えています。

参考 Stefanska E et al. Int J of Offender Therapy and Comparative Criminology. 2024. Vol.68(9)

(翻訳・編集=オブジン)

 


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