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海外情報クリップ 子宮内膜症の痛みの対処法~医療を補完する生活習慣~

 約400万人と推計されている米国の子宮内膜症患者の多くは、外科治療あるいはホルモン薬や市販の鎮痛薬などを選択していますが、それでも持続する痛みがある患者は並行して補完・代替療法も模索しています。このような内膜症の患者が選択する補完・代替療法は採り入れやすく、また費用対効果も高いことが要求されます。

 ハーバード大学の研究者らは、この実態を把握するため、ウイメンズヘルス研究「思春期から成人へ」(A2A)コホートのデータから、内膜症と診断された357人(ステージI/Ⅱ)を思春期(18歳未満)、若年(18~25歳)、成人(25歳超過)の各層に分け、それぞれ選択した補完・代替療法と痛みを軽減または増悪する行動・習慣などを調べました。その結果、各層でほぼ同等に多かったのは温感パッドの使用(全層平均74%)、横になって安静にする(70%)、睡眠(46%)、リラクゼーション(43%)、温浴(41%)と続き、各層に違いがみられたのは、「ヨガ」は成人で多く(層内15%)思春期で少なく(同4%)、「音楽を聴く」は思春期で多く(層内21%)成人で少ない(同9%)などでした。その他の方法では、マッサージ(16%)、瞑想(11%)、身体活動(11%)、氷で冷やす(7%)、(はり)(6%)などでした。過半数は4~8つの方法を採り入れていますが、補完・代替療法は全く使わない;8%、何をしても効果がない;13%などでした。

 次に、痛みを増悪させるものとして各層共通で多かったのは「ストレス」(全層平均59%)、思春期では「運動」(層内60%)、成人では「性行為」(同52%)でした。

 半数以上の患者は補完・代替療法に興味を持っているにもかかわらず、内膜症に関連するエビデンスは少なく、十分な情報が得られていると思う割合は1割にとどまり、今後の研究と情報提供が必要とされています。

参考 Monjiovi JM et al., Frontiers in Reproductive Health. 2024 Jan.

(翻訳・編集=オブジン)

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