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高齢者の心身の健康対策として有効な「体操」と「アート」 ~認知症リスクが体操で約2割減/アートで孤立・孤独感が軽減~

 今年1月、高齢者の健康対策に身体的/精神的側面からアプローチした研究結果が発表された。

「ラジオ体操で認知症リスクが18%低下」(帝京大学報道発表

「アートエンゲージメントは高齢者の孤独感と社会的狐狸の減少と関係」(国立長寿医療研究センター報道発表

 高齢化が進む日本では、65歳以上の人口増加に伴い、身体介護が必要な高齢者の増加が見込まれており、要支援・要介護や認知症を予防することが重要な課題となっている。一方で、さまざまな事情から孤独や社会的孤立を感じやすい高齢者のメンタルヘルスに対する施策の推進も、喫緊の課題だ。

 高齢者が心身ともに健やかな生活をおくるために、どのような対策を講じるべきか。今回、日本国内にある2つの研究機関が、中長期的な追跡調査を通じて、この問いに一定の答えを導き出す研究結果を発表した。以下に、その成果を紹介したい。

①ラジオ体操で認知症予防?

 まず、身体的健康に関して。帝京大学大学院公衆衛生学研究科・金森悟准教授の研究グループは、介護認定を受けていない65歳以上の高齢者1万1,219人を対象に、平均5.3年間の追跡調査を実施し、高齢者における体操(特にラジオ体操)の実践が要介護および認知症のリスクを低下させる可能性を明らかにした。

  • ラジオ体操のみを実践した群では、認知症のリスクが18%低下。
  • その他の体操のみを実践した群では、要支援・要介護のリスクが13%、要介護2以上のリスクが19%、認知症のリスクが19%低下。
  • 両方の体操を実践した場合、統計学的に明確な関連はなかったものの、要介護2以上や認知症のリスク低下の傾向あり。

※対象者の平均年齢=74.2歳、男性の割合=46.3%。追跡期間中の要支援・要介護者=2,580人。要介護2以上の対象者=1,307人。認知症の対象者=1,271人。

〈詳しい調査結果はこちら〉

「ラジオ体操で認知症リスクが18%低下」(帝京大学報道発表

②アートエンゲージメントで孤独・孤立対策?

 次に、精神的健康に関して。国立長寿医療研究センター・野口泰司主任研究員の研究グループは、介護認定を受けていない65歳以上の高齢者4,383人を対象に約3年間追跡調査を行い、音楽や絵画といった芸術・文化的活動(アートエンゲージメント)が対象者の孤独感と社会的孤立の減少と関連していることを明らかにした。

  • 芸術・文化活動を継続して実施した人は、実施していない人と比べて3年後の孤独感や社会的孤立が低く関連していた。
  • 多様な芸術・文化活動を実施している人は、低い孤独感や社会的孤立と関連していた。
  • 芸術・文化活動を新たに開始した人は、低い孤独感と関連していた。
  • 創造的な活動を実施している人は、低い社会的孤立と関連していた。

〈詳しい調査結果はこちら〉

「アートエンゲージメントは高齢者の孤独感と社会的狐狸の減少と関係」(国立長寿医療研究センター報道発表)


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